ファクタリングはバランスシートにどう影響する?借入との違いと正しい使い方

ファクタリングを検討する際、
「資金繰りは楽になると聞いたけど、決算書にはどう影響するのか?」
「バランスシートは悪くならないのか?」
と疑問に感じる方は非常に多いです。

特に、

  • 銀行融資を今後も使いたい
  • 財務内容を悪化させたくない
  • 税理士や金融機関の目が気になる

こうした立場の経営者・個人事業主にとって、ファクタリングとバランスシートの関係は避けて通れないテーマです。

一方で、
「ファクタリングは借金じゃないからバランスシートに影響しない」
「オフバランスだから決算書がきれいになる」
といった情報が断片的に語られることも多く、正確な理解がないまま判断してしまうケースも少なくありません。

実際には、ファクタリングは

  • 方式(二社間・三社間)
  • 契約内容
  • 会計処理の考え方

によって、バランスシートへの影響の見え方が変わる取引です。
「影響しない」「悪くならない」と一括りにできるものではありません。

重要なのは、ファクタリングがバランスシートのどこに、どのように反映されるのかを正しく理解したうえで使うことです。

本記事では、

  • ファクタリングを使うとバランスシートはどう変わるのか
  • 借入と何が違うのか
  • 財務上、どんなメリット・注意点があるのか
  • 銀行や決算にどう見られるのか

といった点を、会計や実務の視点から分かりやすく整理していきます。

「資金繰りを楽にしたい」だけでなく、
「数字の上でも無理のない経営をしたい」
と考えている方に向けた内容です。

次の章ではまず結論として、ファクタリングはバランスシートをどう変えるのか、その本質から解説していきます。

ファクタリングは「負債を増やさずに資産を入れ替える」取引である

結論から整理します。
ファクタリングは、原則として借入のように負債を増やす取引ではなく、バランスシート上では「資産の入れ替え」として作用します。
この点が、融資やビジネスローンと決定的に異なるポイントです。

多くの人が混乱する理由は、
「現金が入る=借金」
という感覚で考えてしまうからです。
しかし、ファクタリングで受け取る現金は、新たにお金を借りているのではなく、すでに持っている売掛金を現金に換えているに過ぎません。

バランスシートで起きていることはシンプル

ファクタリングを使う前後で、バランスシート上に起きている変化は基本的に次のとおりです。

  • 売掛金(資産)が減る
  • 現金・預金(資産)が増える
  • 負債は増えない

つまり、資産の形が変わっているだけです。
総資産が大きく膨らんだり、負債比率が悪化したりする構造ではありません。

このため、適切に処理されたファクタリングは、

  • 借入金が増えない
  • 自己資本比率を圧迫しにくい
  • 財務指標を大きく崩しにくい

という特徴を持ちます。

「オフバランス」という言葉の誤解

ファクタリングについて調べると、
「オフバランスになる」
という表現を見かけることがあります。

ここで注意すべきなのは、オフバランス=何も帳簿に残らない、という意味ではないという点です。

売掛金という資産が消え、現金に変わる以上、バランスシート上の項目は確実に動きます。
ただし、借入金のように負債として残らないという意味で、結果的に財務を軽く見せやすい、という文脈で使われていることが多いのです。

借入と決定的に違うポイント

同じ「資金調達」でも、借入の場合はこうなります。

  • 現金が増える
  • 借入金(負債)が増える
  • 返済義務が将来に残る

一方、ファクタリングは、

  • 現金が増える
  • 売掛金が減る
  • 将来の返済義務は原則ない

という構造です。
この違いが、バランスシートに与える影響の本質的な差です。

関連記事:ファクタリングと融資の違いは?審査・借金扱い・資金調達の選び方

ただし「必ず安全」とは限らない

ここまで聞くと、
「ファクタリングは使えば使うほどバランスシートに良い」
と感じるかもしれません。

しかし実務では、

  • 契約内容
  • 二社間か三社間か
  • 会計処理の考え方

によって、見え方や評価が変わるケースもあります。
また、手数料の扱い方次第では、損益面への影響も無視できません。

つまり重要なのは、ファクタリングは“どう使うか”で財務に与える意味が変わるという点です。

次の章では、なぜ「ファクタリングはバランスシートに影響しない」「逆に悪化する」という相反する意見が出てくるのか、その理由を構造的に解説していきます。

ファクタリングの「バランスシート評価」が分かれやすい理由

ファクタリングについて調べると、
「バランスシートに影響しない」
「場合によっては悪化する」
と、正反対の説明を目にすることがあります。
この食い違いが生まれる理由は、ファクタリングの中身を分解せずに語られているからです。

二社間・三社間で見え方が変わる

まず大きな違いは、二社間ファクタリングと三社間ファクタリングです。

三社間ファクタリングでは、

  • 売掛先への債権譲渡通知
  • 回収リスクが明確に移転

するため、会計上も
「売掛金の消滅」
として扱われやすく、バランスシート上の整理は比較的シンプルです。

一方、二社間ファクタリングでは、

  • 売掛先に通知しない
  • 回収は一度自社を経由する

という構造上、
「本当に債権が移転しているのか?」
という視点で見られることがあります。

この違いが、
「オフバランスになる」
「実質的に借入に近い」
と評価が分かれる大きな要因です。

契約内容次第で「負債性」が疑われる

バランスシート評価で最も重要なのは、契約の中身です。

たとえば、

  • 売掛金が回収できなかった場合に買戻義務がある
  • 実質的に返済責任が残っている
  • 強い遡及条項がある

こうした契約の場合、
「形式はファクタリングでも、実態は借入ではないか」
と判断される可能性が出てきます。

この場合、会計上の扱いだけでなく、金融機関や税理士の評価としても、負債に近い取引として見られることがあります。

会計処理の考え方の違い

ファクタリングの処理方法は、

  • 売掛債権の売却
  • 手数料を売上原価または営業外費用として処理

といった形が一般的ですが、どの勘定科目で、どのタイミングで処理するかによって、決算書の見え方は変わります。

特に、

  • 利益を重視するか
  • キャッシュを重視するか

によって、評価のポイントも変わるため、「数字だけを見て判断すると誤解が生じやすい」分野でもあります。

「影響しない」と言われる理由

それでもファクタリングが
「バランスシートに優しい」
と言われる理由は明確です。

  • 借入金が増えない
  • 返済スケジュールが残らない
  • 負債比率を直接押し上げない

という特徴は、融資にはないメリットです。

ただしこれは、正しく設計されたファクタリングに限るという前提を忘れてはいけません。

評価が分かれるのは「使い方」の差

結局のところ、ファクタリングがバランスシートにとって「プラスにもマイナスにも見える」理由は、取引の中身と使い方がバラバラだからです。

  • 短期の資金調整として使う
  • 売掛金回転を改善する目的で使う

こうした使い方であれば、バランスシート上も健全な印象を保ちやすくなります。

一方で、

  • 慢性的な資金不足を隠すため
  • 手数料負担を無視して多用する

こうした場合、損益面・財務面の両方で歪みが出やすくなります。

次の章では、実際にバランスシート改善につながったケース/逆に悪化したケースを具体例で比較しながら、ファクタリングの使いどころを解説していきます。

ファクタリングでバランスシートが「改善したケース」と「評価を落としたケース」

ここでは、実務でよく見られる事例をもとに、ファクタリングがバランスシートにプラスに働いたケースと、逆に評価を落としてしまったケースを比較します。違いはシンプルで、使い方と設計にあります。

ケース① 売掛金回転が改善し、財務評価が上がったケース

状況
・法人(中小企業)
・売上は安定しているが入金サイトが60日
・資金繰りがタイトで短期借入が増えがち

使い方

  • 三社間ファクタリングを限定的に利用
  • 入金サイトが長い売掛金のみを対象
  • 借入は増やさず、短期の資金調整に使用

バランスシートの変化

  • 売掛金が減少
  • 現金・預金が増加
  • 借入金は増えず、自己資本比率は維持

評価

  • 売掛金回転率が改善
  • キャッシュポジションが安定
  • 銀行からも「資金管理が改善している」と評価

ポイント
ファクタリングを「回転率改善の道具」として使ったことで、バランスシートが軽く、読みやすくなった好例です。

関連記事:ファクタリングの仕訳は借入金じゃない!正しい会計処理と実例を完全解説

ケース② 二社間ファクタリングで問題なく運用できたケース

状況
・個人事業主
・取引先に通知できない事情あり
・入金までのつなぎ資金が必要

使い方

  • 二社間ファクタリングをスポット利用
  • 契約内容はノンリコース前提
  • 手数料と頻度を厳密に管理

バランスシートの変化

  • 売掛金 → 現金への入れ替え
  • 負債計上なし
  • 手数料は費用として処理

評価

  • 資金繰りは改善
  • 決算書上も大きな歪みは出ず
  • 税理士からも問題なしと判断

ポイント
二社間でも、契約と使い方が適切なら、実務上の評価は安定します。

関連記事:ファクタリングと税理士の連携が資金繰りを変える!仕組み・メリット・活用法

ケース③ ファクタリング多用で損益が圧迫されたケース

状況
・慢性的な資金不足
・毎月の売掛金をほぼ全額ファクタリング
・借入を避けたい意識が強かった

使い方

  • 高頻度で二社間ファクタリングを利用
  • 手数料率が高止まり
  • 資金繰り改善の根本対策なし

バランスシートの変化

  • 見た目上は負債が増えない
  • 現金は常にギリギリ
  • 利益が手数料で削られる

評価

  • 損益計算書が悪化
  • 自己資本が増えない
  • 金融機関からは「実質的に資金繰りが厳しい」と判断

ポイント
バランスシートだけを見ると問題がないように見えても、損益とキャッシュが連動して悪化する典型例です。

関連記事:ファクタリングから抜け出せない理由と解決策|依存から脱却する具体的プロセスを解説

ケース④ 実質借入と見なされ、評価が下がったケース

状況
・二社間ファクタリング
・回収不能時の買戻義務が強い契約
・契約内容を十分理解していなかった

問題点

  • リスクがほぼ自社に残っていた
  • 実態は「売掛金担保の資金調達」に近い構造
  • 税理士・金融機関から指摘

評価

  • 財務的に負債性が疑われる
  • 将来の融資審査に悪影響
  • 契約見直しを余儀なくされた

ポイント
形式ではなく実態で判断されるという典型例です。

成功と失敗を分ける共通点

これらの事例から見えてくるポイントは明確です。

  • ファクタリングは「短期・限定」が基本
  • 契約内容で評価は大きく変わる
  • バランスシートだけでなく損益も見る
  • 慢性的に使うと歪みが出る

つまり、ファクタリングは正しく使えばバランスシート改善の道具になり、間違って使えば“見えにくい悪化要因”にもなるという取引です。

次は、ここまでの内容を踏まえて、よくある誤解や実務的な疑問を整理するFAQに進みます。

FAQ|ファクタリングとバランスシートに関するよくある質問

ここでは、「ファクタリング バランスシート」で検索する方が特に疑問に感じやすいポイントを、実務目線で整理します。

ファクタリングを使うとバランスシートは必ず良くなりますか?

必ず良くなるわけではありません。
売掛金を現金に変えることで資産の流動性は高まりますが、使い方や頻度、手数料の負担によっては損益を圧迫し、結果的に財務評価が下がることもあります。
「一時的な資金調整」として使うかどうかが重要です。

ファクタリングは本当に借入ではないのですか?

原則として借入ではありません。
ファクタリングは売掛債権の売却であり、負債を増やさない点が特徴です。ただし、契約内容に強い買戻義務や遡及条項がある場合は、実質的に借入に近いと判断される可能性があります。

二社間ファクタリングはバランスシート的に不利ですか?

必ずしも不利とは限りません。
ノンリコース(回収不能時の責任がない)契約で、利用頻度が限定的であれば、実務上大きな問題にならないケースも多くあります。
ただし、契約内容の確認は必須です。

銀行はファクタリング利用をどう見ていますか?

銀行は形式よりも実態を重視します。
短期の資金調整として合理的に使っていれば大きなマイナス評価にならないこともありますが、慢性的に使っている場合は「資金繰りが厳しい」と判断される可能性があります。

ファクタリングの手数料はどこに影響しますか?

手数料は主に損益計算書に影響します。
頻繁に利用すると利益を圧迫し、自己資本の増加を妨げるため、結果としてバランスシートの改善につながらなくなります。

オフバランスになると聞きましたが本当ですか?

売掛金が消えて現金に変わるため、借入のように負債が残らないという意味で使われることが多い表現です。
ただし、帳簿上の取引が消えるわけではなく、正確な会計処理は必要です。

ファクタリングを使う前に必ず確認すべき点は?

最低限、次の3点は必ず確認してください。

  • 回収不能時の責任がどうなっているか
  • 契約がノンリコースかどうか
  • 手数料と利用頻度が財務に与える影響

これを理解せずに使うと、バランスシート上はきれいでも実態が悪化する恐れがあります。

まとめ:ファクタリングとバランスシートは「理解して使えば武器になる」

ファクタリングは、バランスシートを大きく歪めずに資金繰りを改善できる数少ない手段です。本質的には「借金を増やす行為」ではなく、すでに持っている売掛金という資産を、現金という流動性の高い資産に入れ替える取引にすぎません。この点を正しく理解していれば、融資とは異なる役割として、財務戦略の中に組み込むことができます。

一方で、「借入にならない」「オフバランスだから安心」といった表面的な説明だけで使ってしまうと、思わぬ落とし穴にはまります。契約内容によっては実質的に負債性が強く見られたり、頻繁な利用によって手数料が利益を圧迫し、結果として自己資本が増えない状態に陥ることもあります。バランスシートが一見きれいでも、損益やキャッシュの実態が悪化していれば、金融機関や専門家の評価は決して良くなりません。

重要なのは、ファクタリングを「恒常的な資金源」にしないことです。入金サイトが長い売掛金の回転を一時的に早める、短期の資金ギャップを埋める、といった目的を限定した使い方であれば、バランスシート上も健全な状態を保ちやすくなります。逆に、慢性的な資金不足を隠すために使い続けると、数字の裏側で歪みが蓄積していきます。

ファクタリングとバランスシートの関係は、「良い・悪い」で単純に語れるものではありません。契約内容・頻度・目的を理解したうえで使うかどうかがすべてです。正しく使えば財務を軽くし、誤って使えば見えにくいリスクを抱える。その分かれ道を意識できるかどうかが、経営判断としての差になります。

私たち「ふぁくたむ」は、お客様に寄り添ったファクタリングをします。

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