ファクタリング事件の実例とは?詐欺・二重譲渡・違法業者を解説
「ファクタリングで逮捕されることはある?」「請求書の二重譲渡は犯罪?」「利用した業者が違法だったらどうすればよい?」と不安に感じる経営者もいるでしょう。
ファクタリングは、事業者が保有する売掛債権を期日前に売却して資金化する仕組みです。通常の債権売買はそれ自体が違法ではなく、資金繰りに利用されています。一方で、架空請求書を使って買取代金をだまし取る事件や、ファクタリングを装って違法な貸付けを行う業者の問題も発生しています。
トラブルには、利用者が加害者になるケース、利用者が被害者になるケース、単なる支払遅延など刑事事件とは限らないケースがあります。この記事では、2026年10月時点で確認できる報道や公的機関の情報を踏まえ、具体的な事件、関係する法律、安全な利用方法を解説します。
目次
ファクタリング自体は合法でも、不正な取引は事件になる
ファクタリングは適切な売掛債権の譲渡であれば合法ですが、架空債権による資金詐取や集金代金の不正流用などは、詐欺罪・横領罪などが問題になる可能性があります。 一方、業者が債権買取りを装い実質的に高金利で貸し付けている場合は、業者側の貸金業法違反などが問われ得ます。
主なトラブルを整理すると、次のとおりです。
| 事件・トラブル | 主な内容 | 考えられる問題 |
|---|---|---|
| 架空請求書・偽造書類 | 存在しない売掛金を売却したように装う | 詐欺など |
| 売掛債権の二重譲渡 | 同じ債権を複数社へ譲渡する | 民事紛争、事情により詐欺など |
| 回収金の流用 | 売掛先から入った代金を契約に反して使う | 債務不履行、事情により横領など |
| 偽装ファクタリング | 買取りの形式で実質的な高金利貸付けを行う | 貸金業法・出資法違反など |
| 給与ファクタリング | 個人の賃金債権を使った実質的な貸付け | 無登録営業や違法金利など |
重要なのは、支払いが遅れたという事実だけで犯罪が成立するわけではないという点です。契約内容、債権の実在性、申込時の説明、代金の管理方法、故意の有無などによって判断が変わります。
関連記事:ファクタリングで嘘をつくとどうなる?アウトな嘘・通る説明の境界線を解説
請求書の真実性と債権の帰属が取引の前提になる
ファクタリングは融資ではなく債権の売買
一般的な事業者向けファクタリングは、売掛債権を売却して対価を受け取る契約です。例えば額面100万円の債権を手数料5万円で売却すれば、受取額は95万円です。売掛先から支払われる予定の100万円を誰が受け取るかは、契約方式で異なります。
2者間ファクタリングでは、利用者が売掛先から代金を回収し、ファクタリング会社へ引き渡す方式があります。3者間では、売掛先の承諾などを得てファクタリング会社へ直接支払う方式が一般的です。いずれも、譲渡する売掛債権が実際に存在し、正しい内容であることが前提です。
架空請求書による申込みは詐欺が問題になる
実際には取引していない会社への請求書を作成したり、金額や支払条件を偽って存在しない債権を売却したりすると、買取会社を欺いて金銭を受け取る行為として詐欺罪が問題になり得ます。単なる書類の入力ミスと、意図的な偽造は区別されます。
請求書だけで債権の存在が決まるわけではありません。契約書、発注書、納品・検収記録、取引履歴など、取引の実体を示す資料が重要です。申込み時に提出した情報が誤っていた場合は、放置せず速やかに訂正する必要があります。
二重譲渡は優先順位を争う民事問題にもなる
一つの売掛債権をA社へ譲渡した後、同じ債権をB社へ譲渡すると、誰が債権を取得したと主張できるかが争われます。民法467条では、原則として債務者への通知または承諾が対抗要件となり、第三者に対しては確定日付のある証書が必要です。複数の通知がある場合、単に契約日が早いほうが常に優先するわけではなく、通知の到達時期などが関係します。
法人が譲渡人の場合には、債権譲渡登記によって第三者対抗要件を備える方法もあります。ただし、登記があれば実在しない債権まで保証されるわけではありません。二重譲渡も、その事実だけで直ちに刑事責任が確定するのではなく、相手をだました経緯などが問題になります。
回収した売掛金の使い込みは重大な紛争につながる
2者間取引で利用者が売掛先から入金を受けた場合、契約に基づきファクタリング会社へ送金する必要があります。その代金を別の支払いに使ってしまうと、契約違反として返還請求や損害賠償を求められる可能性があります。回収金の帰属や管理状況によっては、横領などの刑事責任も問題になり得ます。
一方、売掛先が倒産して支払えなくなった場合は別問題です。真正な債権売買で、売掛先の信用リスクを買取会社が負担する契約なら、単に未回収という理由で利用者が必ず買い戻すとは限りません。虚偽の表明や契約違反があった場合は結論が変わります。
関連記事:ファクタリングの使い込みは業務上横領罪!刑事告訴と強制執行のたった一つの回避策
実際に起きたファクタリング事件と防止策
事件1:2026年9月、偽造請求書で約235万円を詐取した疑い
2026年9月24日、新潟県警は、偽造した請求書などをファクタリング会社に送って買取代金をだまし取った疑いで、配送業の男性を逮捕しました。報道によると、2025年11月の申込みに関して約234万7,000円が振り込まれたとされています。
これは逮捕時点の容疑に関する報道であり、有罪判決が確定したという意味ではありません。実在しない取引を示す書類が、買取審査を通じて資金交付につながったとされる事案として、請求書の真実性が重要であることを示しています。
事件2:給与ファクタリングについて最高裁が貸付けと判断
最高裁は2023年2月20日、個人の給与債権を買い取って金銭を交付し、本人を通じて回収する取引について、貸金業法などにいう「貸付け」に当たると判断しました。形式上は債権売買でも、実質的には返済を伴う金銭交付だったことが重視されています。
これは事業者が売掛金を売却する一般的なファクタリングと区別すべき事例です。熊本市も、給与ファクタリングによる高額な手数料や強引な取立てについて注意喚起しています。
関連記事:「給料ファクタリング」は違法な闇金!手を出してはいけない5つの理由と安全な解決策
事件3:偽装ファクタリングをめぐる裁判例
金融庁は、債権の不払いリスクを買取会社がほとんど負わないなどの事情から、実質的な貸付けと判断された裁判例を紹介しています。例えば東京高裁2021年7月1日判決では、売掛先が支払わない場合に売主が債権額以上を支払う仕組みなどを踏まえて、貸金業法上の貸付けに該当すると判断されました。
ただし、2者間ファクタリングがすべて違法という意味ではありません。実際に売掛先の不払いリスクが移転しているかなど、契約の実態が重要です。
想定例:同じ200万円の売掛金を二重譲渡した場合
以下は実際の事件ではなく、仕組みを説明する仮定の例です。建設会社が200万円の売掛債権をA社へ売却した後、その事実を隠してB社にも売却したとします。A社とB社のどちらが第三者に対抗できるかは、確定日付のある通知の到達や登記などを確認して判断します。
この場合、売掛先に異なる振込先を指定する通知が届き、支払先が分からなくなる可能性もあります。二重譲渡を避けるには、債権ごとの譲渡履歴を管理し、買取会社に先行譲渡の有無を正確に伝えることが必要です。
事件を防ぐための確認ポイント
利用者は、請求書の金額・支払日・売掛先・取引実績を確認し、既に譲渡済みの債権を再度申し込まないことが基本です。2者間取引で回収代行を行うなら、入金後の送金日と管理方法を契約書で確かめ、生活費や他社支払いに混同しないようにしましょう。
業者を選ぶ際は、手数料総額、買戻し義務、償還請求権、債権譲渡通知・登記の条件、支払いが遅れた場合の対応を確認します。「ノンリコース」と書かれていても、それだけで適法性が決まるわけではありません。虚偽申告を求める業者や、著しく高い手数料で実質的な返済を迫る業者には注意が必要です。
FAQ|ファクタリング事件に関するよくある質問
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ファクタリングを利用すると逮捕されますか?
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通常の売掛債権を適切に売却する行為自体で逮捕されるわけではありません。架空債権による詐取など、犯罪の疑いがある場合は別です。
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架空請求書を出すと詐欺罪になりますか?
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実在しない債権をあるように装い、買取会社をだまして金銭を受け取れば、詐欺罪が問題になります。具体的な成立は事実関係によります。
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二重譲渡は必ず犯罪になりますか?
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必ずしもそうではありません。民事上の優先関係と刑事責任は別であり、申込時の説明や欺く意図などによって判断が変わります。
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売掛先が倒産したら利用者が返済しますか?
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契約の実態によります。真正なノンリコース型では、通常、売掛先の信用リスクを買取会社が負います。ただし、債権の不存在や契約違反は別です。
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ファクタリング業者に貸金業登録は必要ですか?
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真正な債権売買だけなら、通常は貸金業登録を要しません。実態が金銭の貸付けに当たる場合は登録などの規制が問題になります。
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回収金を使ってしまった場合はどうなりますか?
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契約上の送金義務に違反し、民事請求を受ける可能性があります。管理状況や行為の内容によって刑事問題になる場合もあるため、早急に契約書と入金履歴を確認してください。
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被害や不正を疑ったらどこへ相談しますか?
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契約書、請求書、振込記録、連絡履歴を保存し、弁護士や警察相談専用電話「#9110」へ相談できます。違法な金融業者に関する相談は金融庁の窓口でも受け付けています。
まとめ:ファクタリング事件を防ぐには債権確認と契約内容の理解が欠かせない
ファクタリングは、実在する売掛債権を適正に譲渡する資金調達方法です。しかし、架空請求書や二重譲渡、回収金の流用は重大な紛争に発展し得ます。また、業者側が買取りを装って違法な貸付けを行う事件にも注意が必要です。
利用前には債権の実在性と譲渡状況を確認し、手数料・回収方法・不払い時の負担を契約書で確かめましょう。 疑問がある場合は、資金繰りが急いでいても不正確な申告や安易な契約を避け、専門家に相談することが大切です。
「ちょっと話を聞いてみたい」方も大歓迎!
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