ファクタリングを抜け出せない状況から脱却する方法とは?リスクと対策を徹底解説
「ファクタリングを利用し始めたものの、いつの間にか抜け出せなくなっている…」
そんな悩みを抱える個人事業主や中小企業経営者は少なくありません。
日本政策金融公庫の調査(2023年版「中小企業実態調査」)でも、資金繰りに不安を抱える事業者は全体の 約6割 にのぼり、その中でも「短期資金を繰り返し利用している」割合が高いことが指摘されています。こうした現状の裏側にあるのが、ファクタリング依存の問題です。
本来、ファクタリングは 売掛金を前倒しで現金化し、資金繰りを安定させる有効な手段 です。銀行融資よりスピードが速く、信用情報に傷があっても利用できる柔軟性が評価されています。しかし利便性の高さゆえに、繰り返し利用してしまい、結果として「資金繰りが改善しないどころか、手数料負担でさらに苦しくなる」という悪循環に陥るケースが後を絶ちません。
今回は、ファクタリングを抜け出せないことについて詳しく解説します。また、抜け出す方法も教えましょう。
ぜひ、参考にしてください。
目次
ファクタリング依存から抜け出すための考え方
ファクタリングは、本来「資金繰りを改善するための一時的な資金調達手段」です。しかし、気づけば手数料の負担が重くなり、「資金繰り改善どころか慢性的に依存してしまう」 ケースが多発しています。結論から言えば、ファクタリングから抜け出すためには 短期的な応急処置の繰り返しから脱却し、長期的なキャッシュフロー改善策にシフトすること が不可欠です。
依存から抜け出すための3つの柱
- ファクタリング利用の「目的」を明確化する
- 例:来月の家賃支払いのために一時的に利用する
- 例:新規案件獲得に必要な広告費を前倒しで確保する
→ このように利用目的を限定し、「常に使う」のではなく「特定の場面だけで使う」意識を持つことが大切です。
- 資金繰り表を作成し、キャッシュフローを見える化する
- 売掛金の回収日と支払日を一覧化することで、「どのタイミングで資金ショートするのか」が明確になります。
- 多くの事業者は「感覚で資金繰りを管理」しているため、予期せぬショートが発生し、結果としてファクタリング依存に陥っています。
- 他の資金調達手段との併用
- 小規模事業者向けの日本政策金融公庫の融資
- 補助金や助成金制度
- クラウドファンディングやビジネスローン
→ ファクタリング一本に依存せず、資金調達手段を多様化することで「抜け出す道」が開けます。
警備会社やフリーランスに多い依存例
特に警備業やフリーランスでは、「人件費の即日払い」「クライアントの入金サイトが長い」 など構造的な資金繰りの問題があります。この場合も、まずは入金・支払いサイクルを調整する交渉や、コスト削減の工夫を並行して行うことで、ファクタリング利用の頻度を減らすことが可能です。
なぜファクタリングから抜け出せなくなるのか?
ファクタリングは即日入金や審査の柔軟さから、多くの事業者やフリーランスにとって「頼れる資金繰り手段」として浸透しています。しかし、その利便性が逆に「依存」を生み出し、気づけば 抜け出せない資金繰りの悪循環 に陥ってしまうケースが少なくありません。ここでは、その理由を整理します。
手数料の積み重ねによる資金圧迫
ファクタリングの最大のデメリットは 手数料の高さ です。
2社間取引では10〜20%、場合によっては30%近い手数料を取られることもあります。最初は「緊急時だから仕方ない」と利用しても、毎月続けば利益を大きく削り、資金繰りの改善どころか悪化する結果になります。
→ こうして「また来月もファクタリングを使わないと支払いができない」という悪循環に陥るのです。
銀行融資へのアクセス困難
特に小規模事業者や個人事業主は、金融機関からの融資審査に通りにくいという現実があります。
- 決算書が赤字
- 税金や社会保険料の滞納歴
- 信用情報に傷がある
こうした理由で銀行融資を受けられず、「ファクタリングしか選択肢がない」 状態に追い込まれ、結果として抜け出せなくなります。
支払いサイトの長さと構造的課題
建設業・警備業・介護事業などに多いのが「入金は60日後・90日後」という長いサイト。
一方で、人件費や仕入れの支払いは即日〜翌月 に発生します。
このギャップを埋めるためにファクタリングを活用すると、売掛金が入金されても次の支払いに充てられ、常に資金繰りがタイトなまま。これが「抜け出せない構造的な理由」です。
精神的な安心感の依存
「困ったときにファクタリングがある」という心理的安心感が、逆に依存を強める要因となります。
銀行融資は数週間かかりますが、ファクタリングは即日入金も可能。事業者にとっては「最後の砦」であり、「いざとなれば頼れる」という気持ちが常態化。これが利用の頻度を増やし、結果的に資金繰りの健全化を阻害します。
不透明な契約条件によるトラブル
一部の悪質な業者では、契約時に十分な説明を行わず、後から「追加手数料」や「再契約の縛り」が課されるケースもあります。
知らず知らずのうちに利用条件が不利になり、選択肢を奪われてしまうことで「抜け出せない」状況が固定化されてしまうのです。
実際に抜け出せなくなったケースと解決のヒント
ファクタリング依存の怖さを理解するには、実際に「抜け出せなくなった事業者」のケースを知るのが一番わかりやすいでしょう。ここでは、業種ごとに典型的な事例を紹介しながら、同じ失敗を繰り返さないための解決策も解説します。
事例1:飲食店オーナーのケース
ある地方都市で居酒屋を営む個人事業主のAさんは、コロナ禍で売上が激減。取引先への支払いと家賃の支払いが重なり、銀行融資が受けられないためファクタリングを利用しました。最初の数回は助かったものの、10〜15%の手数料 が積み重なり、利益が出ても再びファクタリングに頼る状況に。結果として「売掛金が入ってもすぐ次の支払いで消える」悪循環に陥りました。
解決のヒント
→飲食業は売上の波が激しいため、ファクタリングを「常用」するのではなく、自治体の助成金や小規模事業者持続化補助金などの公的制度も併用することが重要です。
事例2:警備会社の資金繰り悪化
警備業を営むB社は、イベントや工事現場の警備で売掛先からの入金が90日サイト。ところがアルバイトやスタッフの給与は即日払い。資金のズレを補うため毎月ファクタリングを利用していました。結果、常に手数料が人件費を圧迫 し、赤字経営に転落。銀行融資も「慢性的なファクタリング利用」が理由で断られました。
解決のヒント
→人件費の即日払いが必要な業種は、ファクタリングに頼らず、給与前払いサービスや資金繰り表の徹底管理 によって対応することが推奨されます。
事例3:建設業の下請け業者
C社は建設業の下請け企業。元請けからの入金が4か月先で、資材仕入れと人件費が先行。急場をしのぐためにファクタリングを導入しましたが、高額な手数料+資金ショートの連鎖 により、結局廃業を余儀なくされました。
解決のヒント
建設業特有の資金繰り課題は、自治体の建設業融資や信用保証協会付き融資の方が長期的には有利です。短期資金だけでなく、中長期の資金繰り計画を立てることが不可欠です。
事例4:フリーランスデザイナー
個人で活動するデザイナーDさんは、取引先が大手で支払サイトが60日。家賃・生活費のために請求書ファクタリングを利用しました。しかし、毎月手数料を払うことで結局収入が減少。さらに「常に前借り状態」となり、実質的に経済的自立が遠のいてしまいました。
解決のヒント
フリーランスはクラウドファンディングやクレジットカード枠の有効活用、または「支払いサイト短縮交渉」で資金繰りを改善できます。
抜け出せなくなる前に知っておくべきリスクと対策
ファクタリングは「即日で資金を確保できる」という大きなメリットがある反面、使い方を誤ると簡単に 抜け出せない悪循環 に陥ります。特に個人事業主や小規模企業は資金繰りの余裕が少なく、数回の利用が習慣化するだけで資金繰りが破綻するケースが多く見られます。ここでは、利用前に必ず理解しておくべきリスクと、それを防ぐための実践的な対策を整理します。
リスク1:高額な手数料負担
ファクタリングの手数料は 5〜30% と幅広く、銀行融資に比べて明らかに高額です。とくに「即日・土日対応」といった利便性を売りにするサービスは、手数料がさらに割高に設定される傾向があります。短期的には助かっても、長期的に利用し続けると利益を大きく圧迫し、事業継続が困難になるリスクがあります。
対策
→必ず複数社から見積もりを取り、手数料の相場(2社間:10〜20%、3社間:1〜5%程度)を把握して比較検討しましょう。
リスク2:依存体質化
一度「困ったときにすぐ資金が手に入る」と知ってしまうと、経営者自身が精神的に依存してしまうケースも少なくありません。その結果、資金繰りの根本改善に目を向けず、常に「次のファクタリング」を前提とした経営に陥ります。
対策
→あくまで「一時的な資金ショート対策」として利用し、並行して資金繰り表の作成や固定費削減、売上増加策を実行することが重要です。
リスク3:信用低下の可能性
ファクタリングは借入ではありませんが、金融機関や取引先から「資金繰りに困っている会社」と見られる可能性があります。特に3社間ファクタリングの場合は、売掛先に通知が行くため信用リスクはさらに高まります。
対策
→できるだけ2社間で利用するか、3社間を選ぶ場合は取引先との信頼関係を事前に築き、「資金ショートを防ぐための手段」として説明できる準備をしておくことが望ましいです。
リスク4:違法業者によるトラブル
法規制がまだ整備途上である日本のファクタリング業界では、無登録業者やヤミ金まがいの業者 が紛れ込んでいる現実があります。極端に高い手数料や不透明な契約を押し付けられ、トラブルに発展する事例も後を絶ちません。
対策
→利用する前に「会社所在地が実在するか」「契約内容が明確か」「口コミや実績があるか」を必ず確認し、怪しい業者は避けることが鉄則です。
リスク5:資金繰りの慢性化
「毎月のようにファクタリングを利用する」状態は、すでに資金繰りが慢性化しているサインです。この状態に陥ると、いくら入金されても翌月には再び資金不足に直面し、永遠に抜け出せなくなります。
対策
→資金繰りが慢性化していると感じたら、会計士や金融機関に相談し、融資・補助金・経費削減策など長期的な改善プランを立てることが不可欠です。
ファクタリング依存から抜け出すための具体的ステップ
ファクタリングは一時的な資金繰り改善には有効ですが、繰り返し利用することで「抜け出せない負のループ」に陥るリスクがあります。ここでは、依存から脱却するための現実的なステップを解説します。
資金繰りの見える化
まず行うべきは、自社のキャッシュフローを「見える化」することです。
- 月次ベースではなく週次や日次で収入・支出を管理
- 資金ショートのタイミングを事前に予測
- 必要資金と余剰資金を明確に区別
こうすることで、突発的に「今すぐ現金化が必要だ」と慌てる場面を減らせます。
売掛金管理の徹底
ファクタリング依存の多くは「売掛金回収遅延」が原因です。
- 取引先の支払遅延がないかチェック
- 請求書発行を自動化(クラウド会計・請求書ソフトの導入)
- 入金サイトを交渉して短縮
請求管理の徹底は、資金調達コストを大幅に削減します。
コスト削減と利益率の改善
「売上を伸ばす」だけでは抜け出せません。
- 固定費(家賃・人件費)の見直し
- 外注コストの最適化
- 不要なサブスク契約の整理
利益率を上げることで、ファクタリング利用回数を自然に減らせます。
銀行融資や補助金への切り替え
ファクタリングは即効性に優れていますが、手数料が高いのが難点です。
- 日本政策金融公庫や信用保証協会を通じた融資
- 小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金の活用
- 緊急時はビジネスローンとの比較検討
中長期的には「低コスト資金」にシフトすることが脱却のカギです。
専門家のサポートを受ける
資金繰りに課題を抱えている事業者は、税理士や中小企業診断士といった専門家に相談することも有効です。
- 客観的なキャッシュフロー分析
- 融資申請書類の作成支援
- 資金調達ポートフォリオの構築
外部の知見を取り入れることで「依存」から「計画的利用」へと意識が変わります。
専門家の視点:士業・金融機関が語る注意点
ファクタリングを利用する際には、経営者自身の判断だけではなく、士業や金融機関の視点も参考にすべきです。特に税理士や弁護士、中小企業診断士といった専門家は、資金調達や会計処理、法的リスクの観点から重要なアドバイスを提供しています。
税理士の視点
まず、税理士の視点から見ると、ファクタリングの会計処理は「売掛金の譲渡」として扱われ、借入金とは異なる処理になります。しかし、繰り返し利用していると実質的に「借入に依存している状態」とみなされる可能性があるため、資金繰り表や利益計画と合わせて活用することが求められます。また、割引料や手数料は経費計上できるものの、利益圧迫の要因になりやすく、税務面での健全性チェックも重要です。
弁護士の視点
次に、弁護士の視点です。ファクタリングは法律上「売掛債権譲渡契約」として扱われますが、中には実態が貸金業に近い取引を装っている業者も存在します。契約書に「返済義務」が明記されていたり、過剰な違約金条項が含まれている場合は、違法契約の可能性もあります。弁護士は契約内容の適法性を精査し、万一のトラブルに備える役割を担います。
金融機関の視点
最後に、金融機関の視点です。銀行や信用金庫は融資審査時に「ファクタリング利用歴」を確認するケースが増えています。頻繁な利用は「資金繰りに慢性的な問題を抱えている」と判断されるリスクがあるため、銀行融資や補助金の活用と併用して、健全な資金調達戦略を組み立てることが求められます。
総じて、専門家は「ファクタリング=悪」だとは考えていません。ただし、一時的な資金繰り改善に限定して使うこと、長期的な資金計画と併せて管理することを強調しています。
まとめ:本当に健全な活用法とは
ファクタリングは、銀行融資が難しい個人事業主や中小企業にとって強力な資金調達手段です。しかし、「すぐに資金が手に入る」便利さの裏に、高手数料・違法業者・依存リスクといった落とし穴が存在することを忘れてはなりません。
健全な活用法のポイントは以下の3つです。
- 短期的な資金繰り改善に限定して使うこと
- 利用前に必ず複数社を比較し、手数料や契約条件を確認すること
- 長期的には銀行融資や補助金など低コストの手段に切り替えること
さらに、資金繰り表の作成や売掛金管理の徹底によって「緊急で資金が必要になる状況」を減らすことが、ファクタリング依存から抜け出す第一歩となります。
結論として、ファクタリングは「最後の切り札」ではなく、「資金調達の一つの選択肢」として冷静に位置づけることが大切です。正しく利用すれば事業の安定に寄与しますが、安易に頼りすぎれば経営を圧迫します。専門家や信頼できる業者を活用し、自社にとって本当に健全な資金調達戦略を築くことこそが、経営の持続可能性を高めるカギなのです。
私たち「ふぁくたむ」はお客様に寄り添ったファクタリングをします。
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