【完全解説】ファクタリングの仕訳と借入金の違い|経理・税務の正しい処理方法

「ファクタリングを使ったけど、借入金で仕訳していいの?」「銀行融資と何が違うの?」「税務署に指摘されない?」
こうした疑問を抱く経営者や経理担当者は少なくありません。

結論から言えば、ファクタリングは借入金ではないため、仕訳方法も異なります。
もし借入金として処理してしまうと、税務上の誤りや財務諸表の誤解を招く可能性があるため注意が必要です。

この記事では、「ファクタリング 仕訳 借入金」を徹底解説します。

ファクタリングは“借入金”ではなく“売掛債権の譲渡”として仕訳するべき

ファクタリングは、売掛金(債権)をファクタリング会社に譲渡して現金化する取引です。
融資のように元本返済や利息支払いはなく、**取引の本質は「資産の売却」**です。

そのため、仕訳上は以下のように処理します。

基本仕訳(2者間ファクタリング・手数料5万円・請求額100万円)

借方:現金 95万円
借方:支払手数料 5万円
貸方:売掛金 100万円

ここで「借入金」という勘定科目は一切登場しません。

ファクタリングは借入金ではなく債権譲渡だから

ファクタリングは借入金ではなく債権譲渡になります。

  • 借入金との違い
  • 借入金として処理してしまうリスク

それぞれについて詳しく解説します。

借入金との違い

  • 借入金:借入契約に基づき、金融機関や個人から資金を借りる行為。元本返済義務と利息支払いが発生する。
  • ファクタリング:売掛金という資産を売却する取引。債権が消滅し、代金が手元資金となる。返済義務はない。

この構造の違いが、会計処理の違いに直結します。

借入金として処理してしまうリスク

  • 税務上の否認リスク:借入金処理すると、手数料を「支払利息」として経費計上する可能性があります。しかし、税務署から「これは利息ではなく債権売却損」と指摘され、修正申告を求められることがあります。
  • 財務諸表の誤解:借入金として計上すれば負債額が増え、銀行や取引先から「借入過多」と判断される恐れがあります。
  • 金融機関との契約違反:既存の融資契約に「新規借入の制限」条項がある場合、借入金と誤認されて条件違反とされる可能性があります。

実務での3つの仕訳例と比較

実務での仕訳例を3つ紹介します。

  • 2者間ファクタリングの仕訳例
  • 3者間ファクタリングの仕訳例
  • 間違った借入金処理の例
  • 実際のトラブル事例(5ch等より)

それぞれについて詳しく解説します。

2者間ファクタリングの仕訳例

(請求額:100万円、手数料:10万円)

借方:現金 90万円
借方:支払手数料 10万円
貸方:売掛金 100万円

→ 売掛金が消滅し、手数料が費用計上されます。

3者間ファクタリングの仕訳例

(請求額:100万円、手数料:5万円)

1:売掛金回収時

借方:現金 100万円
貸方:売掛金 100万円

2:手数料支払い時

借方:支払手数料 5万円
貸方:現金 5万円

間違った借入金処理の例

(※NG例)

借方:現金 100万円
貸方:借入金 100万円

→ 実態と異なる処理であり、税務・財務上のリスクがあります。

実際のトラブル事例(5ch等より)

「経理担当がファクタリングを借入金で処理していた。銀行融資の契約違反で一括返済を迫られた。」

このように、誤処理は資金繰りにも影響します。

実務で注意すべき5つのチェックリスト

  • 契約書に「債権譲渡契約」であることが明記されているか
  • 手数料を利息として計上していないか
  • 補助科目で「ファクタリング手数料」など明確にしているか
  • 売掛金消滅のタイミングを正確に反映しているか
  • 税理士と処理方法を共有しているか

よくある質問(Q&A)

ファクタリングは信用情報に影響しますか?

借入ではないため、信用情報機関には登録されません。ただし延滞やトラブルは業界内で共有される可能性があります。

借入金と混同されやすい理由は?

資金調達という点が同じであり、現金が入る仕組みが似ているためです。

手数料は消費税がかかりますか?

原則非課税(金融取引に準ずる)ですが、契約内容により変わるため要確認。

まとめ

ファクタリングと借入金は、どちらも「資金調達手段」という共通点はありますが、本質的にはまったく異なる取引です。

  • 借入金は、返済義務と利息支払いを伴う負債の発生
  • ファクタリングは、売掛債権の譲渡による資産の売却

この違いを正しく理解しないまま会計処理を行うと、以下のようなリスクがあります。

  • 税務上の否認リスク:本来は「債権売却損」として処理すべき手数料を「支払利息」として計上すると、税務調査で修正申告を求められる可能性があります。
  • 財務諸表の誤解:借入金として計上すれば負債比率が悪化し、銀行や取引先から「借入過多」と見なされることがあります。
  • 金融機関との契約違反:融資契約で新規借入を制限されている場合、誤って借入金として計上すれば契約違反となり、最悪の場合は融資の一括返済を求められることもあります。

正しい仕訳のポイントを知っておきましょう。

  • 2者間ファクタリング:現金受取額+ファクタリング手数料=売掛金の消滅
  • 3者間ファクタリング:売掛先から直接入金され、別途手数料を支払う形
  • 借入金という勘定科目は使わない:手数料は「支払手数料」や「債権売却損」などで計上

経営者や経理担当者がとるべき行動は以下になります。

  • 契約書の内容を精査し、「債権譲渡契約」であることを確認する
  • 手数料を利息として誤処理しない
  • 勘定科目・補助科目を明確にしておく(例:「支払手数料/ファクタリング手数料」)
  • 売掛金消滅のタイミングを正確に仕訳へ反映
  • 税理士や会計士と情報共有し、社内ルールを統一

結論として、ファクタリングを正しく「債権譲渡」として仕訳することは、

  • 財務の透明性向上
  • 銀行・取引先からの信頼維持
  • 税務調査での安全確保

に直結します。

一度誤処理をしてしまうと、修正は手間もコストもかかるため、初回から正しい会計処理を行うことが何よりも重要です。

私たち「ふぁくたむ」はお客様に寄り添ったファクタリングをご提案します。